iDeCoの3月の新規加入者は4.8万人、前年同月では8%マイナス成長
国民年金基金連合会が5月2日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると、3月の新規加入者数は4万8,460人で加入者総数は238万7,772人になった。新規加入者数は4.8万人と大きな伸びだったものの、21年5月の新規加入者は約5.3万人と直近ではピークになった加入者増であったため、前年同月との比較では8%マイナス成長になった。21年2月~4月に新規加入者が大きく伸びた山が来ているため、22年4月までは前年実績を超えるのは非常にハードルが高い。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は4,254事業所、対象従業員数は2万6,788人になった。
3月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は6,094人(前月5,469人)、第2号加入者は3万9,587人(前月3万5,999人)、第3号加入者は2,779人(前月2,790人)となり、3号の年金保険種別で前月を下回ったものの、相対的には月次平均を上回る加入者になった。なお、第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が2万3,590人(前月2万1,454人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は9,659人(前月8,738人)となった。第2号加入者の総数が201.5万人と200万人の大台を超えた。
3月の新規加入者数は全体では前年同期比8.0%減になったものの、2017年1月以来の月次平均加入者数の平均は3.7万人であり、この平均と比較すると加入者が大きく増えていることがわかる。
iDeCoの加入意欲の強さは、掛金の平均拠出額の推移にも感じられる。平均拠出額は、3月は23円増の1万6,056円になった。この金額は2020年7月の1万5,584円から20カ月連続で前月比増額を継続している。1円でも多くの金額を積み立てて、老後の蓄えを増やしたいという気持ちが平均拠出額に表れていると考えられる。
拠出限度額との関係は、第1号保険者が月額6.8万円の上限に対し、2万8,557円と上限との差が大きいが、第2号(企業年金なし)は上限2.3万円に対し1万6,632円と上限の72.31%水準に、第2号(企業年金あり)は上限2万円に対し1万910円、公務員は上限1.2万円に対し91.73%の水準の1万1,008円になった。上限2.3万円の第3号保険者は1万5,365円と66.80%の水準にきている。公務員を除けば、平均拠出額は拠出限度額まで余裕があるものの、毎月少しずつ限度額に近づいている。毎月の加入者の増減とともに、平均拠出額の推移もiDeCoの需要を表す重要な指標になっている。

出所:モーニングスター作成
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