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46カ月連続の資金流入が継続するも流入額上位ファンドの顔ぶれに変化=DC専用ファンド(2024年9月)

2024/10/09 16:03

 DC専用ファンドの2024年9月の純資金流出入額(速報値)は約767億円の資金流入超過になった。資金流入超過は2020年12月以降46カ月連続、流入額の規模は前月(約518億円)から回復した。流入額のトップは「先進国株式」で流入額は約329億円で前月の44億円から大幅に回復した。次いで「バランス」の約170憶円だった。前月トップだった「国内株式」は、流入額が約96億円と前月の252億円の約40%の水準に落ち込んだ。

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 DC専用ファンド全体の純資産総額は約13兆6,099億円と前月から約1,111億円増加した。残高の内訳は、株式ファンド55%、債券ファンド12%、バランスファンド31%という割合で、前月と比較してバランスファンドの比率が1%ポイント低くなった。 (※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)

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資金流入額のトップは「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」

 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングのトップは「野村 外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)」が前月の第15位から大きくランクアップして2カ月ぶりにトップに返り咲いた。第2位には前月は第9位だった「DCダイワ日本株式インデックス」がランクアップした。

 前月は国内株式インデックスファンドが資金流入額のトップ10に7本も入ることになり、その前までは先進国株式インデックスファンドがトップ10を席巻するなど、特定の資産クラスに資金流入が集中する傾向が強かったが、9月のランキングはバランス型や外国債券、国内債券などトップ10の顔ぶれは様々な資産クラスに分散している。

 確定拠出年金での運用は、バランス型が中心、米国ではターゲットイヤー型が利用されるケースが一般的だと言われるが、国内のDC市場では、特に2020年代になって先進国株式インデックスファンドへの資金集中が顕著になってきた。2022年になると資金流入ランキングのトップ10を先進国株式インデックスファンドが過半数を占めるということが常態化していた。個人の運用ニーズとして、元本確保型の預金や保険商品が過半を占めているような現状からは、債券ファンドなどを使って安定的に運用したいというニーズも小さくないと考えられるが、DC専用ファンドの資金流入はリスクが高い外国株式型ファンドに集中していた。米国株高の影響もあって、先進国株式インデックスファンドのパフォーマンスが極めて良かったことも、この傾向を後押ししたと考えられる。

 今年8月に日経平均株価が1週間で20%程度も下落するという波乱があった。その時には米国株式をはじめ、世界の株式市場にも動揺が広がった。また、コロナ・ショックを克服するためにゼロ金利・マイナス金利にまで落ち込んでいた金利は、先進国を中心とした政策金利の引き上げによって、米国や英国は長期金利が年4%前後、ドイツでも2%台になっている。債券を使った安定運用が実現可能な状況だ。長期の資産形成を考えた時に、不安定な動きをする株式ファンドが第一の選択肢という状況ではなくなっているといえよう。

 2020年以前は、資金流入額の上位をバランス型が占めることが多かった。今後は、どのような傾向が強まるのか注目していきたい。

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トータルリターン1位は前月同様「大塚グループ株式F(確定拠出年金向け)」

 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングトップは、前月と同様に「大塚グループ株式ファンド(確定拠出年金)」になった。第2位も前月と同じ「DC次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」だった。第3位に「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」が浮上した。

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iDeCoの新規加入状況が低迷

 国民年金基金連合会が10月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると2024年8月の新規加入者数は3万119人で前年同月比23.3%減、加入者総数は342万3,476人になった。新規加入者数は4月以来5カ月連続で前年同月比マイナスになったが、前年同月比で20%以上の落ち込みになったのは2023年12月以来。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(イデコプラス:中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は8,137事業所、対象従業員数は5万1,684人になった。

 8月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は4258人(前月5,091人)と前年同月比5.6%減、第2号加入者は2万4,374人(前月2万7,803人)と同22.9%減、第3号加入者は1,130人(前月1,508人)と同28.8%減になった。第2号加入者の中で、企業年金なしの新規加入者が1万4,289人(前月1万6,657人)。「企業年金あり」が5,469人(前月6,284人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は4,616人(前月4,862人)となった。

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