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米国株式の上昇で外国株式インデックスファンドの人気が盛り上がる=DC専用ファンド(2024年10月)

2024/11/13 14:33

 DC専用ファンドの2024年10月の純資金流出入額(速報値)は約522億円の資金流入超過になった。資金流入超過は2020年12月以降47カ月連続、流入額の規模は前月(約776億円)から減少した。流入額のトップは「先進国株式」で流入額は約338億円だった。次いで「バランス」の約183憶円だった。「国内株式」は、約115億円の資金流出に転じた。資金流出は4カ月ぶりだが、流出金額が100億円を超えるのは、2020年11月(168億円の資金流出)以来、約4年ぶりのことになる。

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 DC専用ファンド全体の純資産総額は約14兆1,784億円と前月から約5,686億円増加した。純資産総額は4カ月ぶりに史上最高を更新した。残高の内訳は、株式ファンド56%、債券ファンド11%、バランスファンド31%という割合で、前月と比較して株式ファンドの比率が1%ポイント高くなり、債券ファンドの比率が1%ポイント低くなった。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)

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資金流入額のトップは「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」

 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングのトップは前月に続いて「野村 外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)」だった。第2位には「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI」、第3位に「One DC米国株式(S&P500)インデックスファンド」が入るなど、先進国株式、また、米国株式のインデックスファンドがトップ10のうち8本を占めた。

 8月は国内株式インデックスファンドが資金流入額のトップ10に7本も入っていたが、その状況が海外株式インデックスファンドにすっかり置き換わった。これは、米国の主要インデックスが10月初旬から中旬にかけて史上最高値を連続して更新する上昇相場にあったことが大きいだろう。先進国株式インデックスファンド(MSCIコクサイインデックス連動型)でも、米国株式への投資比率は75%程度に達しているため、米国株式の影響は大きい。

 確定拠出年金での運用は、バランス型が中心、米国ではターゲットイヤー型が利用されるケースが一般的だと言われるが、国内のDC市場では、特に2020年代になって先進国株式インデックスファンドへの資金集中が顕著になってきた。2022年になると資金流入ランキングのトップ10を先進国株式インデックスファンドが過半数を占めるということが常態化していた。個人の運用ニーズとして、元本確保型の預金や保険商品が過半を占めているような現状からは、債券ファンドなどを使って安定的に運用したいというニーズも小さくないと考えられるが、DC専用ファンドの資金流入はリスクが高い外国株式型ファンドに集中していた。米国株高の影響もあって、先進国株式インデックスファンドのパフォーマンスが極めて良かったことも、この傾向を後押ししたと考えられる。

 今年8月に日経平均株価が1週間で20%程度も下落するという波乱があった。その時には米国株式をはじめ、世界の株式市場にも動揺が広がった。また、コロナ・ショックを克服するためにゼロ金利・マイナス金利にまで落ち込んでいた金利は、先進国を中心とした政策金利の引き上げによって、米国や英国は長期金利が年4%前後、ドイツでも2%台になっている。債券を使った安定運用が実現可能な状況だ。長期の資産形成を考えた時に、不安定な動きをする株式ファンドが第一の選択肢という状況ではなくなっているといえよう。

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トータルリターン1位は前月同様「大塚グループ株式F(確定拠出年金向け)」

 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングトップは、3カ月連続で「大塚グループ株式ファンド(確定拠出年金)」になった。第2位以下も前月と同じ「DC次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」、「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」、「野村DC世界株式トレンドファンド」、「フィデリティ・海外株式・ファンド(DC)」の順で変わらなかった。7位以下に米「S&P500」に連動するインデックスファンドが入った。

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iDeCoの新規加入者数は6カ月連続でマイナス成長

 国民年金基金連合会が11月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると2024年9月の新規加入者数は2万6,326人で前年同月比25.4減、加入者総数は344万3,460人になった。新規加入者数は4月以来6カ月連続で前年同月比マイナスになり、2万6,000人台という新規加入者はコロナ・ショック直後の2020年5月(2万1,556人)以来の低水準。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(イデコプラス:中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は8,242業所、対象従業員数は5万2,426人になった。

 9月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は3,884人(前月4,258人)と前年同月比14.2%減、第2号加入者は2万1,042人(前月2万4,374人)と同26.8%減、第3号加入者は1,039人(前月1,130人)と同38.5%減になった。第2号加入者の中で、「企業年金なし」の新規加入者が1万2,742人(前月1万4,289人)。「企業年金あり」が4,307人(前月5,469人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は3,993人(前月4,616人)となった。

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