DC専用ファンド(2020年6月)、ターゲットイヤーに40億円を超える資金流入
DC専用ファンドの2020年6月の純資金流入額は約443億円で、14カ月連続の資金流入超となった。前月の資金流入の中心であった株式への流入が減退し、債券、バランス、また、ターゲットイヤーへの流入が目立っている。バランスへの流入額は約188億円で前月の約250億円からやや減少したもののカテゴリー別ではトップの資金流入額になった。また、国内債券に約76億円の資金流入となったが、これは19年12月(約272億円)以来6カ月ぶりの高水準。そして、ターゲットイヤーが約43億円の資金流入額となったが、これは2015年1月以来で最大の流入額になっている。一方、先進国株式の流入額は約90億円と前月(約278億円)から大きく後退した。国内株式は、前月は約134億円の資金流入があったものの、6月は一転して約62億円の資金流出になった。
※6月の純資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成
DC専用ファンド全体の純資産総額は約6兆2,489億円と前月(約6兆1,599億円)から約890億円増加した。3月のコロナショックによって5兆6,267億円まで落ち込んだ残高は、3カ月連続で増加し、今年1月のピークまで約1,058億円に迫っている。資産配分状況は、株式ファンド40%、債券ファンド21%、バランスファンド37%という割合で前月と比較してバランスファンドが1%ポイント上がった。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)
出所:モーニングスター作成
資金流入額トップは、三井住友TAM「DC日本債券インデックスファンドL」
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングは、第1位が三井住友トラスト・アセットマネジメントの「DC日本債券インデックスファンドL」になった。国内債券ファンドが資金流入額ランキングでトップになるのは、19年12月に「インデックスコレクション(国内債券)」(三井住友TAM)以来、6カ月ぶり。国内債券ファンドは、第8位に「三菱UFJ国内債券インデックスファンド(DC)」(三菱UFJ国際)、第10位に「DC日本債券インデックスオープンS」(三井住友TAM)がランクインしている。
6月は、日経平均株価の月間騰落率が1.88%、米S&P500が1.84%とおおむね横ばいの相場だった。3月を底に反転した株価が2カ月以上の上昇を経て、ほぼコロナショックによる下落分を回復するまでに戻ってきた。ここで、投資資産の中でリスクが低い国内債券に資金が向かったのは、現実に失業率が高まり、企業業績がマイナスに落ち込む中で、コロナ前の株価水準を回復してしまっても良いものか、気迷い商状となっている様子がうかがえる。
第2位の「野村 J-REITファンド(確定拠出年金)」は、価格が大きく下げたことによる押し目買い、値ごろ感からの買いが入ってきているようで、純資金流入額ランキングでは4月(8位)、5月(5位)と順位を上げている。
第3位には「DCニッセイ 安定収益追求ファンド」(ニッセイ)、第4位が「三菱UFJプライムバランス(安定成長型)DC」(三菱UFJ国際)と安定成長をめざすバランスファンドが上位にランクインした。これらファンドは、トータルリターンを大きく稼ぐことが期待されるファンドではない。資産が大きく目減りすることがないように安定性を重視し、コンスタントな資産成長をめざすファンドといえる。国内債券ファンドとともに、安定運用のバランスファンドが純資金流入額ランキングの上位を占めているところにも、短期間に大きく値戻しをした株式市場に対してスピード調整の必要を感じている投資家の心理が見えるようだ。
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキング
※2020年6月末時点、純資金流入額は推計値
出所:モーニングスター作成
トータルリターンは3カ月連続「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」が1位
個別ファンドの過去1年間のトータルリターンのトップは、3カ月連続で「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」(三菱UFJ国際)になった。第2位は前月と同様に「大塚グループ株式F(確定拠出年金向け)」(野村アセット)だった。
また、5月に続いて日本株ファンドがパフォーマンス上位に目立った。第3位に「DCダイワ中小型株ファンド」(大和アセット)、第6位以下は「J・エクイティ(DC年金)」(三菱UFJ国際)、「明治安田DC日本株式リサーチ」(明治安田)、「DC日本株式エクセレント・フォーカス」(三井住友TAM)、「三菱UFJ<DC>日本株オープン「35」」(三菱UFJ国際)、「DC・ダイワ・ジャパン・オープン」(大和アセット)と、日本株ファンドで占めた。ただ、残念ながら、これら日本株ファンドはほとんどが資金流出となっており、パフォーマンスが残高増に結び付いていない。
DC専用ファンドのトータルリターン(1年)ランキング
※2020年6月末時点、純資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成
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