DC専用ファンド(2020年3月)、コロナショックで純資産総額が5カ月ぶりに6兆円割れ
DC専用ファンドの2020年3月の純資金流入額は約206億円で、11カ月連続の資金流入超となった。流入額の規模は、前月(69億円)の規模から約3倍に拡大した。先進国株式に約176億円(前月比127億円増)となり、国内株式は約134億円の資金流入と前月約86億円の資金流出から転換した。一方、バランスは約96億円の資金流出となった。バランスが資金流出になったのは、19年4月(約11億円の資金流出)以来、11カ月ぶりのことになる。また、REITが約58億円という比較的まとまった金額での資金流出となった。REITは19年11月に約5億円の資金流出だったが、過去5年間で10億円を超えて資金流出したことはなかった。
※3月の純資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成
DC専用ファンド全体の純資産総額は約5兆6,267億円と前月の6兆392億円から約4,125億円減少した。2カ月連続で残高が減少し、純資産総額が5カ月ぶりに6兆円の大台を割り込んだ。資産配分状況は、株式ファンド38%、債券ファンド23%、バランスファンドに37%という割合で前月と比較して株式ファンドが1%ポイント低下し、債券ファンドが1%ポイントあがった。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)
出所:モーニングスター作成
■資金流入額トップは大和アセット「DCダイワ外国株式インデックス」
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングは、第1位が大和アセットマネジメントの「DCダイワ外国株式インデックス」、第2位以下も「DIAM外国株式インデックスF<DC年金>」(アセットマネジメントOne)、「野村DC外国株式インデックスF・MSCI」(野村アセットマネジメント)、「インデックスF海外株式H無」(日興アセットマネジメント)と、上位4番目まで先進国株式インデックス(MSCIコクサイ)に連動するファンドが並んだ。
MSCIコクサイ指数は、2月19日の高値から3月23日の安値まで約1カ月間で35%の下落を記録した。この急速な下落局面に買い向かう動きが台頭したものと考えられる。3月の純資金流入ランキングでは、第6位の「三菱UFJ DC海外株式インデックスファンド」(三菱UFJ国際投信)、第7位の「DCニッセイ外国株式インデックス」(ニッセイアセットマネジメント)とトップ10に6銘柄もMSCIコクサイに連動するインデックスファンドがランクインした。
また、同様に価格が大幅に下落した日本株式のインデックスファンドにも資金流入は目立ち、第5位に「三菱UFJ DC国内株式インデックスファンド」(三菱UFJ国際)、第8位に「DCダイワ日本株式インデックス」(大和アセット)、第10位に「One DC国内株式インデックスファンド」(アセマネOne)がランクインした。
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキング
※2020年3月末時点、純資金流入額は推計値
出所:モーニングスター作成
■トータルリターンのトップは「クスリのアオキホールディングス株式F(DC)」
個別ファンドの過去1年間のトータルリターンのトップは、「クスリのアオキホールディングス株式F(DC)」(野村アセットマネジメント)になった。石川県に本店を置き、北陸地方や東海、近畿地方にドラッグストアを展開するクスリのアオキホールディングスの株価に連動することをめざすファンドで、3月以降に同社株価が上昇したために基準価額が上昇した。2019年3月18日に設定された比較的新しいファンドになる。コロナショックによって、国内のみならず世界の株価が大きく下落する中で、株価が逆行高したためトータルリターンのランキング第1位になった。
第2位以下は、第10位まで9銘柄全てを外国債券インデックス(FTSE世界国債インデックス<除く日本>)に連動するファンドが占めた。第2位の「インデックスF海外債券H有(DC専用)」(日興アセットマネジメント)のみが為替ヘッジありのファンドでトータルリターン1年が7%台に乗せたが、その他は、為替ヘッジなしでトータルリターン1年は5.2%前後でほぼ同じ成績になっている。
DC専用ファンドのトータルリターン(1年)ランキング
※2020年3月末時点、純資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成
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