DC専用ファンド(2020年2月)、先進国株式の純資産残高が国内株式を初めて超過
DC専用ファンドのカテゴリー別純資産残高で2002年2月、先進国株式の残高が国内株式の残高を初めて超えた。長期の運用を前提するDCの資産運用において、国内よりも外国の株式が選好されていることの象徴的な出来事だ。国内株式の時価総額は1兆1,231億円に対し、先進国株式は1兆1,527億円になった。2015年1月には、国内株式8,423億円に対し先進国株式は6,397億円と国内株式に対して先進国株式は7割程度の残高しかなかった。それが、徐々に先進国株式の残高が増額し、ついに20年2月に残高の逆転が起きた。
DC専用ファンド全体の純資産総額は約6兆392億円と前月の6兆3,547億円から約3,155億円減少した。純資産総額が減額するのは、19年8月以来、6カ月ぶりのこと。資産配分状況は、株式ファンド39%で前月の41%から2%減、債券ファンドが22%と前月から2%増、バランスファンドに37%と前月から1%増になった。2月は新型コロナウイルスの感染が世界的な広がりを見せたことで世界の株価が大きく下落。そのため、株式ファンドの時価総額を押し下げた。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)
出所:モーニングスター作成
20年2月の純資金流入額は約66億円で、10カ月連続の資金流入超となったものの、流入額は1月の約1,666億円から大幅に減額した。流入額の規模は過去10カ月間で最低になっている。前月に1,100億円の資金流入があったバランスが、今月は約37億円と激減した。流入額のトップは先進国株式の約48億円だったが、カテゴリー別の流入額トップが100億円を下回るのは、資金流出入額がマイナスであった19年4月以来のこと。
※2月の純資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成
資金流入額トップは「DCニッセイ外国株式インデックス」
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングは、第1位がニッセイアセットマネジメントの「DCニッセイ外国株式インデックス」になった他、トップ10に入った5本が日本を除く先進国株式インデックスのMSCIコクサイ・インデックスに連動するファンドだった。第2位の「野村DC外国株式インデックスF・MSCI」(野村アセットマネジメント)、第5位の「東京海上S・外国株式インデックス」(東京海上アセットマネジメント)、第7位の「三菱UFJ DC海外株式インデックスファンド」(三菱UFJ国際投信)、第9位の「インデックスコレクション(外国株式)」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)は、運用会社こそ違うものの、同じ株価指数を対象としたインデックスファンドだ。
前月は、流入額のトップ1銘柄に約432億円の資金流入があるという異常な資金流入ランキングになっていた。今月はトップのファンドでも月間の資金流入額が約7.7億円と平常ベースのランキングになっている。その中にあって、MSCIコクサイに連動するインデックスファンドがランキングトップ10の半数を占めているのは、DC市場の中で、いかに外国株式投資が定着してきているかをうかがわせる。
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキング
※2020年2月末時点、純資金流入額は推計値
出所:モーニングスター作成
トータルリターンのトップは「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドDC」
個別ファンドの過去1年間のトータルリターンのトップは、ピクテ投信投資顧問の「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドDC」。同ファンドがランキングトップ10に入ったのは、19年2月(第9位)以来。同ファンドは、世界の高配当な公益株式に投資するアクティブファンドで、公募投信では「グロイン」の略称で親しまれ、毎月分配型は残高が1兆円を超える人気ファンドだ。
前月トップだった「野村 世界SRIインデックスF(確定拠出年金)」(野村アセットマネジメント)は、18位に後退した。
また、第2位の「野村J-REITファンド(確定拠出年金)」(野村アセット)、第3位の「DCダイワ J-REITアクティブファンド」(大和証券投資信託委託)以下は国内REITファンドで占められた。第4位以下はJ-REITインデックスファンドになった。
DC専用ファンドのトータルリターン(1年)ランキング
※2020年2月末時点、純資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成
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