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DC専用ファンド(2020年5月)、資金規模はコロナ前を回復、資金流入はバランスへも拡大

2020/06/05 18:02

 DC専用ファンドの2020年5月の純資金流入額は約774億円で、13カ月連続の資金流入超となった。先進国株式に約279億円の資金流入となり、かつ、バランスにも約246億円の資金流入となり、株式ファンドを中心に幅広い資産を対象としたファンドに資金が入っている。月間の資金流入額774億円の水準は、今年1月(約1,670億円)以来の高水準となる。DCを通じた資産形成については、コロナ前の勢いを取り戻したといえそうだ。

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※5月の純資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


 DC専用ファンド全体の純資産総額は約6兆1,599億円と前月の5兆8,754億円から約2,845億円増加した。6兆円台は2月(6兆392億円)以来3カ月ぶり。資産配分状況は、株式ファンド40%、債券ファンド21%、バランスファンドに36%という割合で前月と比較して株式ファンドが1%ポイント上がり、債券ファンドとバランスファンドが1%ポイントずつ下がった。株式ファンドの比率が40%台に乗せるのは今年1月(41%)以来、4カ月ぶり。コロナショックによる株価下落から世界株価が戻しているため、株式ファンドを中心に純資産総額が拡大している。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)
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出所:モーニングスター作成


資金流入額上位は前月に続いて外国株式インデックスファンド


 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングは、第1位が野村アセットマネジメントの「野村 外国株式インデックスファンド(確定拠出年金)」、第2位以下も「DIAM外国株式インデックスF<DC年金>」(アセットマネジメントOne)、「三井住友・DC外国株式インデックスファンドS」(三井住友DSアセットマネジメント)と、第3位まで前月と同じになった。先進国株式インデックス(MSCIコクサイ)に連動するファンドが並んでいる。

 だた、第4位に「分散投資コア戦略ファンドS」(三井住友TAM)、第8位に「三菱UFJプライムバランス(成長型)DC」(三菱UFJ国際投信)、第9位に「マイバランス70(確定拠出年金)」(野村アセット)、10位に「三菱UFJプライムバランス(安定成長型)DC」(三菱UFJ国際)がランクイン。4月はトップ10の8つを外国株式インデックスファンドが占めていたが、そこに、バランス型が4本食い込んだため、トップ10に占める外国株式型は前月8本から5本になった。

 コロナショックによって3月に大幅に落ち込んだ世界の株価が、4月、5月と2カ月連続で戻り歩調となったことを確認し、リスク資産への投資がバランス型ファンドにまで広がってきている。一般に、預金等を運用の中心に置いてきた人たちが、いきなり株式ファンドに投資するには「価格変動リスク」に対する心理的なハードルがある。その点、バランス型は債券等を組み入れることによって価格変動リスクを抑える効果があるため、預金からリスク資産へとステップを踏んでいく人たちに選択されやすい商品と位置付けられる。投資教育の場でも資産分散は強調して伝えられている。

 2019年3月末時点で企業型確定拠出年金では運用資産の50.6%が元本確保型で運用され、iDeCoでは55.9%が元本確保型というデータがある。確定拠出年金の加入者は、概ね半分が預金や保険商品といった元本確保型商品で運用している状況だ。DC市場として市場が活性化する(資産運用に前向きになっている)どうかの判断は、バランス型ファンドにいかに資金が流入しているかどうかがポイントになり得る。5月の資金流入状況は、4月と比較すると、より運用に前向きになっている様子がうかがえる。

DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキング

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※2020年5月末時点、純資金流入額は推計値
出所:モーニングスター作成


トータルリターンは2カ月連続「ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」1位


 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンのトップは、前月に続いて「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」(三菱UFJ国際)になった。同ファンドは世界の上場株式の中から長期的な成長が期待できる銘柄に厳選して投資している。20年4月末現在の組入銘柄数は32銘柄と少ない銘柄に集中投資している。第2位に「大塚グループ株式F(確定拠出年金向け)」(野村アセット)、第3位に「クスリのアオキホールディングス株式F(DC)」(野村アセット)が入った。いずれも、個別株価の上昇がファンドのパフォーマンスを押し上げていると考えられる。トップの「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」は前月のトータルリターン1年が16.73%だったのが、今月は45.73%と大きく上昇した。

 一方、5月の日本株の上昇を受けて、第4位以下に「DCダイワ中小型株ファンド」(大和アセットマネジメント)、「三菱UFJ<DC>日本株オープン「35」」(三菱UFJ国際)、「DC日本株式エクセレント・フォーカス」(三井住友TAM)、「DC・ダイワ・ジャパン・オープン」(大和アセット)、「J・エクイティ(DC年金)」(三菱UFJ国際)など、日本株ファンドが並んだ。外国株式よりも身近な存在だけに、これら日本株ファンドへの資金流入が今後、伸びていくかどうかに注目したい。

DC専用ファンドのトータルリターン(1年)ランキング

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※2020年5月末時点、純資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


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