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株価下落で資金流入トップは安定運用の「投資のソムリエ<DC年金>リスク抑制型」=DC専用ファンド(2022年1月)

2022/02/08 10:35

 DC専用ファンドの2022年1月の純資金流出入額は約681億円の流入超過になった。資金流入超過は2020年12月以降14カ月連続になった。バランスが約320億円の資金流入額となり、前月の約152億円の資金流入額から倍増し、資産別でトップの資金流入になった。また、先進国株式が約191億円の資金流入額で前月の約306億円の資金流入額からは減少したものの、依然として大きな資金流入が続いている。前月に続いて全ての資産クラスが資金流入となった。

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※ 1月の資金流出入学は推計値
出所:モーニングスター作成


 DC専用ファンド全体の純資産総額は約8兆4,383億円と前月から約3,288億円減少した。21年12月末比で22年1月末に米国株式のS&P500(配当込み、円ベース)がマイナス7.11%、先進国株式の代表的なインデックスであるMSCIワールド(配当込み、円ベース)がマイナス6.92%、国内株式のTOPIX(配当込み)がマイナス4.83%など、主要国の株価が大きく下落した影響を受けた。資産配分状況は、株式ファンド46%、債券ファンド17%、バランスファンド35%という割合で、前月と比較して株式ファンドが1%ポイント低下し、バランスが1%ポイント増加した。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)
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出所:モーニングスター作成


■資金流入額トップは「投資のソムリエ<DC年金>」

 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングは、トップが「投資のソムリエ<DC年金>リスク抑制型」、第2位が「投資のソムリエ<DC年金>」になった。資金流入額は2ファンド合計で約143億円になった。第3位以下は「One DC先進国株式インデックスファンド」など、第7位まで先進国株式インデックスファンドが占めた。前月は、「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」を筆頭にトップ4を先進国株式インデックスファンドが占めたが、今月も引き続き先進国株式インデックスファンドが優位な状況が続いている。第10位には、DC市場における代表的なバランスファンドである「インデックスコレクション(バランス株式30)」が入った。

 資金流入額でトップになった「投資のソムリエ<DC年金>リスク抑制型」は、国内外の株式や公社債、リート(不動産投信)を投資対象とし、目標リスクを年2%程度に設定して資産配分比率を毎月見直すとともに、日々の環境変化に応じて機動的に資産配分比率を見直している。第2位の「投資のソムリエ<DC年金>」は、目標とするリスク水準が年4%程度とやや高いが、基本的な運用の仕組みは同じだ。

 たとえば、21年11月下旬に新型コロナの変異種であるオミクロン株が発見され、非常に強い感染力があることが明らかになると、11月29日にリスク性資産を「警戒局面」に引き下げ、12月1日には「危機局面」として一段と引下げ、12月7日に「警戒局面」に戻すという対応を実施している。12月7日時点でのリスク性資産(株式やリートなど)の組入比率は3.6%、現金等の比率を16.0%にまで引き上げている。このように、株式等の下落が強く懸念される局面では、リスク性資産の組入れ比率を大幅に引き下げることによって株価等の下落による資産価値の目減りを防いでいる。この判断は、経済指標等の変化を分析してシステマチックに行うようにしている。

 2012年10月に公募投信である「投資のソムリエ」を設定して以来、9年超の運用実績があるが、リスク・リターンともに、非常に安定した運用成績を残してきている。13年10月に設定した「投資のソムリエ<DC年金>」の過去5年(年率)のリスクは2.73%、トータルリターン(年率)は2.66%、15年10月に設定した「投資のソムリエ<DC年金>リスク抑制型」の5年(年率)リスクは2.29%、トータルリターン(年率)は1.91%になっている(2022年1月末現在)。この安定した運用成績が、市場の先行きに不透明感が強まった中で支持されたと考えられる。

DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキング

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※ 1月の資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


■トータルリターンは「DCトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」

 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングトップは、「DCトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」の38.21%だった。前月のトップだった「DCダイワ・グローバルREITインデックス」は3位に後退し、前月7位だった「DCダイワ・グローバルREITアクティブ」が第2位に浮上した。前月同様に先進国REITを主たる投資対象としたファンドがランキングの第2位から第9位を占めた。第10位には「野村世界ESG株式インデックス(確定拠出年金)」が入った。

 「DCトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」は、ファンド名の通り、トヨタ自動車とそのグループ会社(連結子会社、持分法適用関連会社)を投資対象とし、トヨタ自動車に50%、グループ会社は時価総額に応じた比率で投資する。コロナ禍に伴う半導体不足や部材の調達困難などサプライチェーンが滞ったことで、多くの製造業で生産効率が悪くなり減産などを余儀なくされる中、トヨタグループは減産回避の努力によってトヨタ自動車の中間決算(21年9月期)売上高は15兆4,812億円、純利益は1兆5,244億円と過去最高を更新した。この決算等にけん引され、トヨタ自動車とそのグループの株価は、他の国内株式よりも堅調な推移となり、同ファンドの高いトータルリターンにつながっている。

DC専用ファンドのトータルリターン(1年)ランキング

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※ 1月の資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


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