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iDeCoの7月の新規加入者は4.88万人、加入者総数210万人突破

2021/09/01 11:25

 国民年金基金連合会が9月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると、7月の新規加入者数は4万8,794人で加入者総数は210万1,958人になった。月間の新規加入者は、今年2月以降、月間加入者が4万人を超える高水準の新規加入が継続している。加入者総数は、今年5月に200万人の大台に乗せてから2カ月間で10万人を上積みした。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は3,181事業所、対象従業員数は2万240人になった。

 7月の新規加入者の内訳は、第2号加入者は3万9,734人(前月4万1,396人)、第3号加入者は2,669人(前月2,842人)となった。なお、第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が2万4,356人(前月2万5,147人)、共済組合員(公務員)の新規加入者は9,441人(前月9,183人)となった。

 7月の新規加入者数は全体では前年同期比48.9%増で6月の63.3%増より、伸び率が鈍化したとはいえ、非常に高い伸び率が続いている。新規加入者数の前年同期比伸び率は、2020年11月に15.0%増と2ケタの伸び率になって以降、2ケタ台が定着しているが、21年3月に40.9%増とジャンプアップしてから、4月に51.0%増、5月に86.5%増、6月に63.3%増と高水準での加入者増が続いている。

 iDeCoは、掛金が全額所得税控除の対象となる他、運用時も非課税、受取時にも「退職所得控除」(一時金受取の場合)、「公的年金等控除」(年金受取の場合)などの優遇措置を受けることができる。資金の拠出から、運用、受け取りという3段階にわたって節税効果のある最強の資産形成口座と言われている。2017年1月に、加入対象者が第3号被保険者(専業主婦・夫)や公務員にまで広がった折に、第一次加入ブームが起きたが、その際には、節税効果が大きく取り上げられ、「定期預金などの元本確保型商品で積立を続けても、掛金拠出によって得られる所得税控除のメリットで掛金額に対して年15%~55%の税額の戻りが期待できる」として節税目的に加入する人も少なくなかった。

 しかし、2020年3月のコロナショックによって世界株価が大きく下落した後の急速な株価の上昇によって、株式を対象とした投資信託の運用収益が急拡大している。たとえば、代表的な株価指数である「MSCIコクサイインデックス(日本を除く先進国の株式の総合的な株価指数)」(配当込み、円換算ベース)は、2021年8月末までに過去1年間で36.97%の値上がりであり、2020年3月末から77.84%も値上がりしている。たとえば、2020年3月から毎月1万円の掛金を「MSCIコクサイインデックス」に連動する外国株式インデックス・ファンドで運用を継続した場合、21年8月末までに18カ月間で18万円を投資した運用評価額は23万6100円になっている。5万6100円の運用益は投資元本に対して31.17%となり、運用益非課税のため、まるまる運用収益として獲得できる計算だ(運用に関する手数料は考慮していない)。

 定期預金等による運用益は、ゼロ金利時代の継続によってゼロ円になってしまい、運用益非課税のメリットはない。過去1年半の間に、株式に投資する投資信託をiDeCoの運用商品に指定していた人は、楽々と2ケタの運用益を獲得できたものと考えられる。今年3月以降にiDeCoの新規加入者数が大きく伸びたのは、このような運用環境の良化も後押ししていると考えられる。投資信託等を使った元本変動型商品によるiDeCoの運用は、掛金非課税に加えて運用益非課税のメリットもダブルで得られるだけ、iDeCoの制度利用のメリットが大きくなる。引き続き、米国株式市場は史上最高値を更新し続けて好調を維持し、8月末からは国内株式市場も上向いて、株式等を使った運用環境は引き続き良好だ。iDeCoへの新規加入意欲も継続するものと期待される。

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出所:モーニングスター作成


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