iDeCoの6月の新規加入者は5.1万人、第1号(自営業)の新規加入が加速
国民年金基金連合会が8月2日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると、6月の新規加入者数は5万1,086人で加入者総数は205万9,289人になった。月間の新規加入者が3月以来、3カ月ぶりに5万人を超え、iDeCoへの加入に勢いがある。中でも、第1号加入者は17年1月以降で最大の6,848人(前月は5,970人)の加入となり、iDeCo加入が加速している。6カ月(21年1月~6月)の合計加入者数は27.75万人となり、2017年1月にiDeCoの加入対象者が公務員や第3号被保険者に広がった17年1月~6月の25.36万人を超え、過去最大になった。
なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は3,048事業所、対象従業員数は1万9,453人になった。
5月の新規加入者の内訳は、第2号加入者は4万1,396人(前月3万1,944人)、第3号加入者は2,842人(前月2,280人)となった。なお、第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が2万5,147人(前月2万130人)、共済組合員(公務員)の新規加入者は9,183人(前月6,609人)となった。
6月の新規加入者数は全体では前年同期比63.3%増で5月の86.5%増より、伸び率が鈍化したとはいえ、非常に高い伸び率が続いている。新規加入者数の前年同期比伸び率は、2020年11月に15.0%増と2ケタの伸び率になって以来、2ケタ台が定着しているが、21年3月に40.9%増とジャンプアップしてから、51.0%増、86.5%増、そして、6月の63.3%増と加入者増の勢いが増している。
iDeCoの加入者区分別で加入状況を比較すると、自営業者などの第1号加入者の前年同月比伸び率は87.0%と、会社員や公務員の第2号加入者の58.8%を大きく上回り、専業主婦(夫)の83.5%増を抑えてトップになっている。第2号加入者のうち、「企業年金有り」の人は52.8%増、地方公務員でも定年退職金が平均で2,000万円を超えるという公務員(共済組合員)が40.6%増となっていることから、自助努力の年金準備の必要性が強く意識される自営業でiDeCo加入熱が高まっていることがわかる。
2020年3月末時点での公的年金の加入者数に対する現在のiDeCoの加入率を比較すると、第1号加入者は国民年金の加入者1,453万人に対しiDeCo加入者23.2万人と1.60%に過ぎない。また、国民年金第3号である専業主婦(夫)は公的年金加入者数820万人に対してiDeCo加入者は8.2万人で1.00%だ。この点、公務員に相当する厚生年金第2号~第4号への加入者450万人に対し、iDeCoの公務員加入者は44.6万人と加入率は9.92%、会社員である厚生年金第1号の4037万人に対し、iDeCo加入者は129.9万人と3.22%の比率だ。第1号と第3号のiDeCo加入率が低いことが目立っている。
自営業者は、掛金が全額所得控除で、所得税や住民税が軽減される自助努力の年金制度として、確定給付年金に相当する国民年金基金とiDeCoの選択制(同時加入も可だが、掛金の合計は月額6.8万円が上限)になっている。国民年金基金の加入者数は19年3月末36.35万人から20年3月末に34.87万人に減少している。国民年金基金の加入者数はピークであった2003年度末には78.92万人だった。当時の第1号被保険者数は2,208万人に対する加入率は3.57%になる。現在のiDeCoと国民年金基金の加入者を合計すると、国民年金保険加入者の約4.0%が自助努力の年金制度に加入していることになる。
21年4月末時点で国民年金の満額受給額は78万900円(月額6.5万円)に過ぎない。自営業者は職種によっては生涯働き続けることができるとはいえ、老後が長期化している現在、「いずれは年金暮らし」が現実的な選択肢といえよう。コロナ・パンデミックのような予測もできないショックが起こる可能性に直面し、将来の不安に備える年金への加入意欲が高まっていると考えられ、現在の増勢は簡単には収まらないように考えられる。
出所:モーニングスター作成
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