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iDeCoの4月の新規加入者は4.86万人、3カ月連続で新規加入が4.5万人超え

2021/06/01 14:58

国民年金基金連合会が6月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると、4月の新規加入者数は4万8,600人で加入者総数は198万279人になった。月間の新規加入者が3カ月連続で4.5万人を超えた。これは、2017年1月にiDeCoの大きな制度改定が実施され、公務員や第3号被保険者にも開放されて加入者が大幅に増えた時以来、4年ぶりのことだ。iDeCoへの新規加入が加速している。従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は2840事業所、対象従業員数は1万8,230人になった。

 4月の新規加入者の内訳は、第1号加入者が6,079人(前月6,497人)、第2号加入者は4万82人(前月4万3,388人)、第3号加入者は2,439人(前月2,802人)となった。なお、第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が2万4,690人(前月2万5,507人)、共済組合員(公務員)の新規加入者は8,784人(前月1万766人)となった。

 第1号加入者の新規加入は3カ月連続で6,000人を超え、第2号加入者は2カ月連続で4万人を超えた。前年同月比で比較すると、新規加入者数(全体)は、前年同月比51.0%増、第1号加入者が前年同月比92.1%増、第2号加入者が同44.8%増、第3号加入者が82.6%増と、引き続いて第1号と第3号加入者の増加が目立ったが、その勢いが第2号加入者にも波及している。第2号加入者のうち企業年金なしの加入者総数が101万4,822人と100万人の大台を突破した。企業年金なしの新規加入は3カ月連続で2万人以上で増加しており、自助努力で老後資金を確保する必要性に迫られた動きが強まっていると考えられる。

 iDeCoは、「60歳までは換金できない」という老後資金のための特別口座との位置づけだが、運用収益非課税、かつ、拠出金が全額所得控除の対象となるなど、資産形成手段としては、最も恵まれた節税口座になっている。運用対象が投資信託だけでなく、銀行預金などで積み立てることが可能になっていることも投資未経験者には使いやすい制度になっている。ただ、NISA(少額投資非課税口座)と比較すると、毎月の口座管理手数料(171円~611円)が必要になるというネックがある。

 口座管理手数料は、実際には、運用益非課税や拠出金の全額所得控除などの特典によって、そのマイナスのデメリットが見えなくなってしまうが、ただ、たとえば毎月400円(年額4,800円)としても残高が10万円程度であれば年4.8%に相当する。残高が100万円を超えれば、同じ毎月400円は0.48%以下と10分の1になるが、それでも決して小さいとは言えない。元本確保を重視して定期預金で積み立てている場合は、着実に資産を削り取っていくことになる。

 ここで、注意しておきたいのは、拠出金の全額所得控除というのは、iDeCo口座の外で起こることということだ。毎月1万円を拠出して所得税率が10%の人は、年間で1万2,000円の税控除メリットが毎年ある計算だが、これは家計としての収支の話だ。iDeCo口座からは確実に1年間に4,800円が差し引かれ続けている。30年間で14万4,000円。もし、この間、毎月1万円を定期預金で積み立てていたとしたら(そして、現在のゼロ金利が継続したとすれば)、受け取る時には、積み立てたはずの360万円から4%少ない345.6万円しか口座に残っていない。年金資金を作るための口座としては決定的な弱点だ。

 iDeCoでは口座管理手数料以上に運用収益が上がるような運用を考えたい。たとえば、世界のGDP成長率は年率3%程度が見込まれ、その世界の経済成長に従って成長する企業群に幅広く投資すれば、年3%プラスαのリターンを長期的に獲得することが期待できるだろう。実際には、「先進国(日本除く)インデックスファンド」の信託報酬が年0.5%程度がかかる(2021年4月末時点の平均)ため、この運用コストを差し引いた残りが運用収益になる。このため実際には年2.5%になったとしても、残高が20万円を超えれば、口座管理手数料の年4,800円を賄うには足りることになる。もっとも、金融機関によっては、口座管理手数料が毎月171円(年2,052円)のところもある。iDeCoを使って将来の年金資産をつくるのであれば、できるだけ、口座管理手数料の安い金融機関でiDeCoの口座を開き、安定的な収益が見込める世界株式などに投資する投信等で運用することを考えたい。

 iDeCoが、ここへきて新規口座開設に勢いがついてきているのは、iDeCo活用のメリットが浸透し始めた効果も小さくないと考えられる。この新規加入の勢いを持続させるためにも、メリットとデメリットを正しく理解し、iDeCoを有効に活用する人が増えるよう、運営管理機関をはじめ関係各機関の積極的な情報提供が必要だ。

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出所:モーニングスター作成


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