iDeCoニュース

DC専用ファンド(2021年4月)、先進国株式への高水準な資金流入が継続、純資産総額は過去最高を更新

2021/05/12 19:11

 DC専用ファンドの2021年4月の純資金流出入額は約400億円の流入超過になった。前月同様に2カ月連続で「先進国株式」や「バランス」など全ての資産分類が資金流入になった。資金流入のトップは、「先進国株式」で流入額は約241億円。前月の流入額307億円よりも流入額はやや衰えたが、依然として高水準な資金流入となっている。第2位は「バランス」で約91億円だった。こちらは、前月の294億円と比較すると大きく流入額が減少した。同様に、前月は約136億円の資金流入があった「国内株式」も流入額が24億円に減少した。

MF2-4.jpg

※ 4月の純資金流入額は推計値
出所:モーニングスター作成


 DC専用ファンド全体の純資産総額は約7兆7,708億円と前月から約1,014億円増加し、純資産総額は史上最大を更新した。資産配分状況は、株式ファンド45%、債券ファンド18%、バランスファンド35%という割合だった。株式ファンドが前月から比率を1%引き上げ、バランスファンドは前月に比べて1%比率を低くした。株式ファンドの比率が45%になるのは、2018年9月(44.73%)以来2年7カ月ぶりのこと。4月の同比率は44.57%なので、まだ、18年9月の水準にはおよんでいない。20年3月に、コロナショックによる株安で株式ファンドの比率は37.67%にまで落ち込んだが、その後は、毎月比率を引き上げている。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)
SK2104.jpg

出所:モーニングスター作成


資金流入額トップは、前月同様「野村外国株式インデックスF(確定拠出年金)」

 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングは、第1位が前月と同様に野村アセットマネジメントの「野村外国株式インデックスF(確定拠出年金)」になった。4月は先進国株式インデックスファンドへの資金流入が一段と活発になり、第7位に入ったティー・ロウ・プライス・ジャパンの「ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式(DC)」を除けば、資金流入額トップ10の全てが先進国株式インデックスファンドになった。連動をめざす株価指数も揃って「MSCIコクサイ(円ベース)」だ。

 トップ10の中で唯一のアクティブファンドとなった「ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式(DC)」は、新興国も含む世界の株式市場に上場する企業の中から、運用チームが「成長期待が高いと期待される」という銘柄を選び出し、厳選して投資するファンド。21年3月末現在の組入れ銘柄数は79銘柄になっている。DC専用ファンドは、2020年5月28日の設定のため、過去1年間の運用実績はないが、先行して設定された同じマザーファンドに投資する公募投信「ティー・ロウ・プライス 世界厳選成長株式Bコース(資産成長型・為替ヘッジなし)」は、4月末時点での1年間トータルリターンが70.53%と、外国株式インデックスファンドを大きく上回る成績を残している。

 ちなみに、同ファンドの公募投信を購入する場合には、購入時に購入額に対して税込み3.3%の手数料(購入金額1億円未満)を支払った上で、運用時にかかる信託報酬は年率1.683%(税込み)になる。対して、DC専用ファンドは、購入が確定拠出年金制度に対応した積立投資に限るという条件付きながら、購入時手数料が無料、かつ、信託報酬は年1.078%(同)になっている。長期で運用を行ううえではコストの面で非常に有利になっている。

DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキング

MFrank.jpg

※ 2021年4月末時点、資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


リターンは13カ月連続で「ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」が1位

 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングのトップは、13カ月連続でベイリー・ギフォード世界長期成長株F」(三菱UFJ国際投信)になった。第2位に「大和住銀 DC外国株式ファンド」(三井住友DSアセットマネジメント)が入り、前月の3位から1つランクを上げた。第3位の「AB・G・グロース・オポチュニティーズDC」(アライアンス・バーンスタイン)は、前月は第7位だった。

 前月に第2位だった「DCダイワ 中小型株ファンド」(大和アセットマネジメント)が第7位に後退するなど、国内株式ファンドの成績が下火になる中、外国株式ファンドのランキング上昇が目立った。ただ、国内株式を投資対象としている「J・エクイティ(DC年金)」(三菱UFJ国際)は、前月の第9位から今月は第5位にランクを上げて健闘している。

 トータルリターンランキングは、引き続き国内外の株式を投資対象とするアクティブファンドが好成績を持続している。純資金流入額ランキングのトップ10が、1年トータルリターンで先進国株式インデックス(MSCIコクサイ(円ベース))のパフォーマンスに相当する49%程度に留まるところ、トータルリターンランキングでは1年で53%以上に上昇している。トップのベイリー・ギフォード世界長期成長株F」は94.37%だ。ただし、インデックスファンドの信託報酬率は年0.15%~0.28%(税込み)という低率であることと比較してアクティブファンドの信託報酬率は0.86%~2.00%(同)と高い。

DC専用ファンドのトータルリターン(1年)ランキング

TRrank.jpg

※ 2021年4月末時点、資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


【関連記事】
DC専用ファンド(2021年3月)、DCファンドの資金流入額が大幅回復、3月末の純資産総額が過去最大規模に増額
DC専用ファンド(2021年2月)、DCファンドの資金流入額が激減、バランス型は資金流出に転換
DC専用ファンド(2021年1月)、DCファンドに高水準な資金流入が続くものの国内株式からは資金流出

    
    

バックナンバー

  1. 「先進国株式」への旺盛な資金流入が継続、国内株式は2カ月連続で資金流出=DC専用ファンド(2024年6月) ( 2024/7/05 17:54)
  2. 円安傾向が外国株式投資を促した?「先進国株式」への資金流入額が歴史的な規模に=DC専用ファンド(2024年5月) ( 2024/6/07 17:33)
  3. 資金流入額トップ10に国内株ファンドが大量にランクイン、パフォーマンス上位はアクティブが席巻=DC専用ファンド(2024年4月) ( 2024/5/10 17:12)
  4. 資金流入額トップを爆走する先進国株式、バランス型やREITにも資金流入が拡散=DC専用ファンド(2024年3月) ( 2024/4/08 18:12)
  5. 先進国株式に月間500億円を超える過去最大の資金流入、国内債券から資金流出継続=DC専用ファンド(2024年2月) ( 2024/3/08 17:12)
  6. 純資産総額が12兆円の大台越え、先進国株式インデックスファンドへの旺盛な資金流入が続く=DC専用ファンド(2024年1月) ( 2024/2/07 17:39)