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DC専用ファンド(2021年2月)、DCファンドの資金流入額が激減、バランス型は資金流出に転換

2021/03/08 15:44

 DC専用ファンドの2021年2月の純資金流出入額は約6億円の流入超過になった。昨年12月から今年1月まで高い水準で資金流入が続いていたが、2月は流入額が大きく減った。前月は150億円強の資金流入だったバランスが約30億円の資金流出に転じ、前月は約185億円の資金流入だった先進国株式への流入額も約89億円と半減した。超低金利が続いている国内債券や先進国債券は、揃って資金流出に転じている。


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※ 2月は推計値
出所:モーニングスター作成


 DC専用ファンド全体の純資産総額は約7兆2,942億円と前月から約1,216億円増加し、史上最大を更新した。資産配分状況は、株式ファンド43%、債券ファンド18%、バランスファンド36%という割合だった。債券ファンドは前月に比べて1%比率を低くした。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)
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出所:モーニングスター作成


■資金流入額トップは、「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」

 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングは、第1位が三菱UFJ国際投信の「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」になった。トータルリターン(1年)ランキングで今月まで11カ月連続でトップを独走するパフォーマンスの良さに、資金流入の面でも人気が伴ってきた。

 また、2位には野村アセットマネジメントの「野村 J-REITファンド(確定拠出年金)」が食い込んでいる。そして、3位は野村アセットの「野村 新興国株式インデックスF(確定拠出年金)」だ。前月まで、資金流入額上位を席巻していた先進国株式インデックスファンドは、6位以下に4本がランクインするだけになってしまった。

 代わって資金流入額トップ10に野村アセットの「マイターゲット2060(確定拠出年金向け)」というターゲット・イヤー型のファンドが入ってきた。米国では、企業型確定拠出年金の運用でメイン商品に位置付けられるターゲット・イヤー型のファンドだが、日本では未だに利用者が少ない。運用期間が長期で確保できる若い時代は株式などのリスク性資産を多く保有し、退職年齢が近づくほどに、債券など安定資産を多く組み入れるように、ライフステージに応じてファンドが運用リスクのコントロールをしてくれる。

 現在の運用資産の約半分が定期預金や保険商品などの元本確保型商品に偏っているが、これらの資金の受け皿として期待されるファンド群の1つがターゲット・イヤー型だ。今回は、全般的に資金流入額が細る中で、やや目立った流入額になった。DC専用ファンドの中でのターゲット・イヤー型の比率は21年2月末現在で0.73%に過ぎない。今後の成長を期待したい。


DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキング

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2021年2月末時点、資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


■リターンは11カ月連続「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」が1位

 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングのトップは、11カ月連続で「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」(三菱UFJ国際)になった。第2位には前月第3位だった「DCダイワ 中小型株ファンド」(大和アセットマネジメント)が順位を上げ、前月まで第2位だった「DC・ニュー・チャイナ・ファンド」(三井住友DSアセットマネジメント)は第6位に後退した。第3位には、三井住友DSアセットの「大和住銀 DC外国株式ファンド」が前月の第5位からランクアップした。

 トータルリターンランキングは、引き続き国内外の株式を投資対象とするアクティブファンドが好成績を持続している。ランキング上位の顔ぶれに前月から大きな変化はないが、新たに、日興アセットマネジメントの「年金積立アクティブ・ダイナミクス」と三井住友トラスト・アセットマネジメントの「DCリサーチ・グロースF」がトップ10に入った。

DC専用ファンドのトータルリターン(1年)ランキング

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※ 2021年2月末時点、資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


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