iDeCoの8月の新規加入者は約3.7万人で前年同月比9.4%減、第1号と第3号は伸びる
国民年金基金連合会が10月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると、8月の新規加入者数は3万6,649人で加入者総数は169万754人になった。月間新規加入者数は前年8月と比較すると3,784人(9.4%)減少している。昨年は6月に国会等で「年金2,000万円不足問題」が話題となり、8月から10月にかけて前年同期比で2ケタ増加するということがあった。一昨年2018年8月と比較すると1,365人の増加となっており、iDeCo加入の根強いニーズは感じられる。一方、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は1,904事業所、対象従業員数は1万2,389人になった。
8月の新規加入者の内訳は、第1号加入者が4,162人(前月3,826人)、第2号加入者は3万732人(前月2万7,481人)、第3号加入者は1,755人(前月1,468人)となった。なお、第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が1万8,119人(前月1万6,171人)、共済組合員(公務員)の新規加入者は7,615人(前月6,977人)となった。
加入者の内訳を前年同月比で比較すると、第1号加入者が前年同月比5.5%増、第2号加入者が同12.3%減、第3号加入者が22.8%増と、第1号と第3号加入者の増加が目立った。第2号加入者の中では、公務員等を指す共済組合員が前年同期比で31.4%減と大きく落ち込んでいる。
第2号加入者は、会社勤め、または、公務員という比較的収入が安定した職を得ている人であることに対し、自営業者らの第1号加入者、また、パートやアルバイトで収入を得ている第3号加入者は、比較的収入が安定しない職に就いているといえる。コロナ禍によって、観光業や外食産業などで大幅に収入が落ち込み、雇用にも悪影響が伝えられる中で、比較的収入が不安定な人たちが、将来不安を和らげるために、防衛的にiDeCoに注目したのだろうか。
もっとも、第1号加入者や第3号加入者は、第2号加入者に対してiDeCoへの加入率が低かった。たとえば、2019年3月末時点の国民年金保険の被保険者別加入者数と2020年8月時点のiDeCo加入者を比較すると、第1号加入者は加入率が1.29%、第2号は3.25%、第3号加入者は0.71%という水準になる。第2号に対して、第1号と第3号の加入率が低いことは明らかだ。iDeCoが全国民の年金拡充のためのプラットフォームであるということの認識が高まった結果、加入が遅れていた第1号と第3号保険者にも、iDeCo加入への関心が高まってきたということなのかもしれない。
iDeCo新規加入者数の推移
出所:モーニングスター作成
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