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iDeCoの7月の新規加入者は約3.3万人で前年同月比10.9%減、コロナ外出自粛の影響か

2020/09/01 16:33

 国民年金基金連合会が9月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると、7月の新規加入者数は3万2,775人で加入者総数は165万8,186人になった。月間新規加入者数は6月と比べて1,487人増加したものの、前年7月と比較すると4,003人(10.9%)減少している。昨年は6月に国会等で「年金2,000万円不足問題」が話題となり、7月にiDeCo加入者が前年同月比8%増加し、8月から10月にかけて前年同期比で2ケタ増加するということがあった。今年は、新型コロナウイルスの影響で全国的に外出自粛が続き、iDeCoの加入状況を一昨年2018年7月と比較すると1,000人超の減少となっており、外出自粛の影響が見え始めたとも受け取れる。一方、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は1,850事業所、対象従業員数は1万2,119人になった。

 7月の新規加入者の内訳は、第1号加入者が3,826人(前月3,663人)、第2号加入者は2万7,481人(前月2万6,076人)、第3号加入者は1,468人(前月1,546人)となった。なお、第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が1万6,171人(前月1万4,922人)、共済組合員(公務員)の新規加入者は6,977人(前月6,529人)となった。

 iDeCoの新規加入状況は、例年5月と11月が少し落ち込むものの、それ以外の月は概ね3万人程度で横ばいとなっている。昨年は、「年金2,000万円不足問題」が大きな話題になったため、夏から年末年始までiDeCo加入者が大きく伸びる異例の事態となった。ただ、それから1年経過しただけで「年金2,000万円不足問題」に何か変化があったわけではない。

 現在、社会保障審議会個人年金・企業年金部会においてiDeCoを含む確定拠出年金の拠出限度額引き上げについて議論が進んでいる。公的年金等を拡充するより、自助努力による年金積立額を拡充する方向だ。国民年金や厚生年金などの年金保険料を継続して納めていた人には、一定水準の公的年金が支給されることを考えれば、自助努力で準備する老後資金は、よほどの贅沢を考えないかぎり「2,000万円ほど」で足りるといえよう。目標金額が確定すれば、準備期間が長いほど、すなわち、準備スタートの時期が早ければ早いほど、毎月の負担額は小さくなる。当然、老後資金の準備をするのであれば、運用収益に20%の税金がかからないiDeCo(または、企業型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を活用する方が得だ。

 2020年7月現在、企業型確定拠出年金の加入者は約750万人、iDeCoは約166万人だ。また、確定給付企業年金(DB)の加入者が2020年3月末現在で約940万人、退職等年金給付の加入者が約448万人になっている。重複加入を無視して単純にこれら加入人数を足し合わせても約2,300万人にすぎない。20~65歳までの人口約6,900万人の3分の1だ。全体の3分の2を占める圧倒的多数が年金の枠組みから外れている。もちろん、生命保険会社の個人年金保険の契約件数は2019年3月末で2,142万件ある。2020年3月末で219万口座のつみたてNISAを使った投信の積立を年金代わりに考えている人もいるだろう。ただ、それらを全部足し合わせても6,900万人には届かない。また、これらの加入者数と比較すると、iDeCoの166万人という数字が依然として小さいことも明らかだ。iDeCoへの関心を薄れさせない努力が必要だろう。

iDeCo新規加入者数の推移

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出所:モーニングスター作成


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