トータルリターンは日本バリュー株ファンドが年25%超でトップ10の6割占める=DC専用ファンド(2023年10月)
DC専用ファンドの2023年10月の純資金流出入額(速報値)は約837億円の資金流入超過になった。資金流入超過は2020年12月以降35カ月連続になった。流入額のトップは前月と同様に「先進国株式」で資金流入額は前月の約308億円から約321億円と横ばいだった。次いで、「国内株式」の流入額が約144億円から約269億円に拡大した。「国内株式」に250億円を超える資金が月次で流入するのは2015年1月以来初めて。また、「バランス」も資金流入額が約149億円と安定的な資金流入だった。一方、「国内債券」は約12億円の流出超で3カ月連続の資金流出になった。前月まで6カ月連続資金流出だった「REIT」は約10億円の資金流入に転じた。
DC専用ファンド全体の純資産総額は約10兆8,452億円と前月から約2,028億円減少した。2カ月連続で純資産総額が減少した。10月は指数ベースで米S&P500が前月比2.20%マイナスと3カ月連続で下落し、日欧に加え中国の株価も下落するなど、世界的な株安になった。残高の内訳は、株式ファンド51%、債券ファンド14%、バランスファンド34%という割合で、前月と同じだった。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)
資金流入額ランキングのトップは「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングのトップは、5カ月連続で「野村 外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)」だった。第2位には前月同様に「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI」、第3位には「One DC国内株式インデックスファンド」が入った。前月第3位だった「三井住友・DC外国株式インデックスファンドS」は4位に後退した。先進国株式インデックスファンドがランキングの上位を席巻する中で、国内株式インデックスファンドが割って入った格好だ。
トップ10のうち、7本を先進国株式インデックスに連動するインデックスファンドが占め、残る3本が国内株式(TOPIX連動型)のインデックスファンドだった。
DC(確定拠出年金)市場では、特に、企業型DCにおいて掛金を企業が拠出するという仕組みになっているため、加入者である従業員がDC資産残高の変化をチェックするということが少ない傾向にある。このため、一度投資先を指定してしまうと、そのまま何年も同じファンドに継続投資するという傾向が強い。結果的に、その選択したファンドが長期的に値上がりする資産であれば、その投資行動は問題ない。現在の先進国株式インデックスファンドへの資金流入は、ここ数年の間、米国株式をはじめとした先進国株式のパフォーマンスが優れていたことの反映といえる。
一方、国内株式については、今年に入ってから長年劣後してきた米国株式のリターンを上回るような成績を示し始めている。今後、国内株式への資金流入が定着するためには、国内株式市場の安定的な好パフォーマンスが続くことがポイントになるだろう。今後の推移を見守りたい。
トータルリターンのトップ10は国内株バリューファンド
個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングトップは、前月はトップ10圏外(82位)だった「クスリのアオキホールディングス株式F」だった。前月の1位だった「DCトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」は第5位に後退した。個別の株式や企業グループに限定したファンドは、個別企業の株価動向の影響を強く受けることになるため、順位の変動が激しい。ただ、日本株ファンドのパフォーマンスが相対的に良いため、外国株式ファンド等を押しのけて、トップ10に入ってきている。
このような個別企業グループのファンドを除くと、トップ10には、前月に続いて第2位の「三井住友・バリュー株式年金ファンド」、第3位の「DCダイワ 中小型株ファンド」、第4位の「MHAM 日本バリュー株オープン
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