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トータルリターンのトップ10は日本株アクティブファンドが席巻=DC専用ファンド(2023年9月)

2023/10/06 16:42

 DC専用ファンドの2023年9月の純資金流出入額(速報値)は約619億円の資金流入超過になった。資金流入超過は2020年12月以降34カ月連続になった。流入額のトップは前月と同様に「先進国株式」で資金流入額は前月の約309億円から約307億円と横ばいだった。次いで、「国内株式」の流入額が約86億円から約143億円に拡大した。また、「バランス」も資金流入額が約117億円と安定的な資金流入だった。一方、「国内債券」は約14億円の流出超で2カ月連続、「REIT」も約3億円の資金流出で6カ月連続の資金流出になった。

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 DC専用ファンド全体の純資産総額は約11兆480億円と前月から約816億円減少した。9月は指数ベースで米S&P500が前月比4.87%マイナスと2カ月連続で下落し、日欧の株価は弱含み横ばいとなり、純資産総額の減少は世界的な株安が響いた結果だ。残高の内訳は、株式ファンド51%、債券ファンド14%、バランスファンド34%という割合で、前月と同じだった。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない) 

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資金流入額ランキングのトップは「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」

 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングのトップは、前月と同じで4カ月連続で「野村 外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)」だった。トップ3の顔ぶれは前月と同じで第2位には「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI」、第3位に「三井住友・DC外国株式インデックスファンドS」が入った。トップ10のうち、9本を先進国株式インデックスに連動するインデックスファンドが占め、前月の8本を上回った。残る1本は、前月と同様に国内株式(TOPIX連動型)のインデックスファンドだった。

 先進国株式インデックスである「MSCI-KOKUSAI(配当込み、円ベース)」のパフォーマンスは、9月末時点で1年トータルリターンが25.31%と国内株式(TOPIX)の26.55%を下回る結果になっている。ただ、10年(年率)では13.88%と、国内株式の6.88%を大きく上回るパフォーマンスをキープしており、この過去10年余りにおいて続いてきた外国株式優位の展開が、DC運用において外国株式選好の大きな理由になっている。しかし、1年間という短い期間とはいえ、国内株式インデックスが外国株式インデックスを上回っている意味は小さくないと考えられる。

一般的に「外国株式インデックスファンド」の場合は、日本を除く先進国の株式が投資対象になっている。せっかく復調している日本株上昇の恩恵を受けられないことになる。「外国株式インデックスファンド」のみを投資対象にしている場合は、それに追加して、「日本株式インデックスファンド」、あるいは、日本株のアクティブファンドを組み入れることを検討する必要があるのではないのだろうか。

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トータルリターンのトップは「DCトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」

 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングトップは、前月の6位からジャンプアップした「DCトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」になった。前月トップだった「クスリのアオキホールディングス株式F(DC)」はトップ10圏外(82位)だった。第2位は前月第3位の「三井住友・バリュー株式年金ファンド」が浮上し、第3位に前月のトップ10圏外から「DC日産株ファンド」が入った。トップ10の全てを日本株アクティブファンドが占めている。

 「DCトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」や「DC日産株ファンド」など、個別の株式や企業グループに限定したファンドは、個別企業の株価動向の影響を強く受けることになる。したがって、「クスリのアオキホールディングス株式F(DC)」のように、1カ月の間にリターンが大きく悪化するようなこともある。また、これらのファンドは、主として組み入れ対象企業グループの企業型年金で採用され、ちょうど株式の持ち株会と同じような感覚で活用されているため、そのパフォーマンスの影響が及ぶ範囲は大きくない。

 その点では、第2位の「三井住友・バリュー株式年金ファンド」や第4位の「DCダイワ 中小型株ファンド」、また、第5位の「MHAM 日本バリュー株オープン」など、バリュー(割安株)に着目したファンドのパフォーマンスの良さが注目される。9月末時点におけるインデックスの1年トータルリターンは、「TOPIX(東証株価指数)」が26.55%、「日経平均株価」が22.83%だ。これらに対して、バリュー系のアクティブファンドでは40%程度のリターン水準になっている。インデックスを大きくアウトパフォームするアクティブファンドが多く存在することは、日本株ファンドの選定において注目されるポイントだ。

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