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iDeCo3月の新規加入者は4.3万人で2カ月連続で前年同月比割れ、企業型DCとの併用ブーム一巡?

2023/05/01 18:06

 国民年金基金連合会が5月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると3月の新規加入者数は4万2,889人で加入者総数は289万9,618人になった。新規加入者数は前年同月比11.5%減となり、2カ月連続で前年同月を下回り、前月よりも減少率が大きくなった。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は5,948事業所、対象従業員数は3万7,154人となった。

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 3月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は4,491人(前月3,959人)、第2号加入者は3万6,410人(前月3万5,437人)、第3号加入者1,675は人(前月1,567人)となった。前月と同様に第1号、第2号、第3号の加入が前年同月比で減少しているが、いち早く新規加入の勢いが衰えた第1号と第3号の前年同期比減少率は前月よりも小さくなるものの、第2号加入者の減少率は前月を大きく上回った。第2号加入者の中で、企業年金なしの新規加入者が2万221人(前月1万8,279人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は6,486人(前月6,746人)となった。第2号加入者の中で「企業年金あり」が9,713人(前月1万412人)と前年同月比53.3%増と伸びているが、前月の伸び率79.3%増からは伸びが鈍った。

 2022年10月1日から企業型確定拠出年金(企業型DC)加入者のiDeCo加入要件が緩和され、第2号加入者の「企業年金あり」に区分される加入者の新規加入が急速に増えてきたが、その勢いも鈍化してiDeCoへの加入意欲は全般に大きく減退した状況になっている。「企業年金あり」の新規加入者は、2022年10月に前年同期比3倍増と大きく伸び、同年11月に3.7倍増でピークを付けたものの、翌月から徐々に伸び率が鈍化した。22年12月に3倍増、23年1月に2.25倍増、同年2月に79.3%増となり、この3月は53.3%増だった。この制度改正による「企業型DCとiDeCoの併用ブーム」は一巡したようにみえる。

 現在、収益非課税の資産形成支援制度としては、2024年1月からスタートする「新NISA」に関心が高まっている。現状では、1年間に40万円までしか投資ができない「つみたてNISA」が、新NISAでは「つみたて投資枠」として年間120万円(月額10万円)まで非課税枠が拡充される。「つみたてNISA」で月間3.3万円、iDeCoで月間2万円など、それぞれの限度額で制度を併用していたものを、新NISAでは、1つの制度で月額10万円までつみたて投資が可能になる。iDeCoには60歳になるまでは換金できないという制約があるため、将来のための資金を積み立てるという単純な目的のためには、いつでも換金が可能なNISAの方が利便性が高い。新NISAの話題が出るとともに、iDeCoへの関心が薄れたのは当然の反応ともいえる。

 一方、iDeCoを含む確定拠出年金制度の制度改正を検討する議論が4月12日から社会保障審議会で始まった。ここで改めてiDeCoの加入要件や掛金の限度額等について議論されることになっている。iDeCoなど自助努力の年金制度は、退職後の生活に安心をもたらす制度として重要だ。iDeCoで積み立てた資金は、60歳まで引き出せないが、それは、60歳を超えて退職した後の生活で使う資金として残していくものだからだ。「老後の資金」として貯めたつもりのお金が、子どもの学資や住宅ローンの頭金などに転用されると、自身が老齢化した時に、老後の資金が足りないと困ることになりかねない。老後資金は、高齢社会の進展によって年々、自助努力の資金準備の重要性が重くなってきている。老後のためだけに目的を絞ったiDeCoの拡充は、NISAと同じく、今の日本に重要なテーマの1つといえる。今後の議論を待ちたい。(図版は、iDeCo新規加入者の推移)

    
    

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