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iDeCo1月の新規加入者は5万人割れ、第1号と3号の新加入鈍化は物価高による生活費増が要因か?

2023/03/01 17:30

 国民年金基金連合会が3月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると1月の新規加入者数は4万5272人で加入者総数は282万5,441人になった。新規加入者数は前年同月比8.7%増となり、9カ月連続で前年同月を上回ったが、月間新規加入者は4カ月ぶりに5万人の大台を割った。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は5,589事業所、対象従業員数は3万5,336人となった。

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 1月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は3,962人(前月4,136人)、第2号加入者は3万9,210人(前月4万5,839人)、第3号加入者は1,681人(前月1,941人)となった。前月と同様に第1号、第3号の加入が前年同月比で減少している。第2号加入者も前月は前年同月比36.8%増と大きく伸びたが、今月は同16.5%増と伸び率が鈍った。第2号加入者の中では、「企業年金なし」の新規加入者が1万9,716人(前月2万1,794人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は7,064人(前月7,781人)となった。共済組合員(公務員)の新規加入者は前年同月比14.3%減になった。その中で、「企業年金あり」が1万2,430人と前年同月比2倍超の新規加入になった。

 新規加入者増勢の鈍化は、第1号、第3号の加入者の伸び悩みが大きな要因になっている。第1号の新規加入者数は、21年2月に月間で6,324人と6,000人の大台に乗せてから、月間に5,000人超の新規加入が常態化していたが、22年12月に4,136人に低下し、23年1月にはついに4,000人の大台も割り込んでしまった。また、第3号加入者は同じく21年2月に2,982人と2,000人の大台を超えた後には2,000人越えが常態化していた。それが、22年12月に1,941人と2,000人割れに落ち込み、23年1月には1,681人にまで減少してしまった。

 23年1月時点でも月間新規加入者の合計では4万5,000人台という高い水準を維持しているが、これは、第2号加入者の中で、勤め先に企業年金がある人の加入が前年同期比で2倍超の加入になっているためだ。22年10月から企業型確定拠出年金(企業型DC)加入者のiDeCo加入要件が緩和され、従来は、iDeCoへの加入を認めている企業型年金規約の制度に加入している人しかiDeCoへの加入ができなかったが、規約の定めがなくともiDeCoへの加入が可能になったという制度簡素化の特殊要因によるもの。ただ、22年10月から3カ月連続で前年同月比3倍超の新規加入となっていたが、23年1月には2倍超に伸び率が鈍化してしまっている。

 このように、自営業者である第1号や専業主婦(夫)の第3号の新規加入が鈍っている理由は、電気料金や食品という生活に密接した費用(生活費)が上昇し、「年金」という将来の備えにまで十分な資金を回す余力が乏しくなってきたということの表れともとれる。「物価上昇率を超える賃上げの実現を」(岸田文雄首相)という期待が高まる中で、会社員や公務員といった第2号加入者は比較的加入鈍化は穏やかだが、第1号や第3号では鋭角的に響いているようだ。

 第1号と第3号については加入者数の伸び鈍化だけでなく、平均掛金の金額も減少傾向にある。第1号では22年9月に平均掛金額が2万8,912円でピークをつけるが、その後は毎月平均掛金額が減額し、23年1月には2万8,665円になった。第3号はピークが22年11月の1万5,483円だったが、2カ月連続で減額し、23年1月には1万5,401円になった。これは、平均掛金額がピークを更新し続けている第2号とは対照的な動きだ。iDeCoは私的年金であり、加入は任意だ。生活費の高騰によって加入を見送ったり、掛金を減額したりすることは自由にできる。20年3月をボトムとした世界的な株高によって、資産運用のニーズが一気に顕在化した22年が終わって、23年は非常に厳しい景気の現実と向き合うことになっている。今後の新規加入状況の変化に注目していきたい。

    
    

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