DC市場で国内中小型株式アクティブファンドのパフォーマンス向上が目立つ=DC専用ファンド(2023年1月)
DC専用ファンドの2023年1月の純資金流出入額は約462億円の流入超過になり、資金流入超過は2020年12月以降26カ月連続になった。流入額のトップは前月同様に先進国株式で、流入額は前月の約317億円から約185億円になったものの、資産クラス別でも2020年12月以来26カ月連続での資金流入増を続けている。次いで、前月も第2位だったバランスに約113億円の資金流入があった。一方、個別ファンドのパフォーマンスランキングでは国内株式の中小型株を投資対象としたアクティブファンドの運用成績の向上が目立っている。国内株式への資金流入は約82億円と前月の173億円から半減したが、パフォーマンスの良さから見直される可能性もある。
出所:モーニングスター作成
DC専用ファンド全体の純資産総額は約9兆3,838億円と前月から約2,975億円増加した。残高の内訳は、株式ファンド48%、債券ファンド15%、バランスファンド35%という割合で、前月と比較して株式ファンドが1%ポイント上昇した。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)
出所:モーニングスター作成
資金流入額ランキングのトップは「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングのトップは、前月に引き続き「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」で、第2位も前月同様に「野村 DC外国株式インデックスF・MSCI」になった。資金流入額トップ10のうち5ファンドを先進国株式インデックスファンドが占め、依然として先進国株式インデックスファンドがDC運用の中心になっている。
一方、第3位に「インデックスコレクション(バランス株式50)」、第4位に「インデックスコレクション(バランス株式30)」、第7位に「インデックスコレクション(バランス株式70)」、そして、第8位に「三菱UFJプライムバランス(成長型)DC」という、三井住友グループと三菱UFJグループのDC向けの主力と位置付けられるバランスファンドがランクインした。前月は野村グループの「マイバランスDC50」と「野村DC運用戦略ファンド」の2銘柄のみがバランスファンドでランクインしたことと比べると、バランスファンドの利用率も高まっていることがわかる。
2022年は中央銀行の相次ぐ利上げによって債券運用には最悪の1年間だったが、そろそろ利上げも最終局面とみられ始め、ここからは、金利の低下(債券価格の上昇)も期待できるようになってきた。株式の成長の魅力に加えて、債券の利回りの魅力も両方が享受できるような環境となってきており、DC運用の基本である「安定的な資産運用」を実現する上で、バランスファンドの活用は、これから一段と進むと考えられる。
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキング
出所:モーニングスター作成
トータルリターンのトップは「ブラックロック・ヘルスサイエンス」が返り咲き
個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングトップは、前月は第2位だった「ブラックロック・ヘルスサイエンス・DCファンド」になった。同ファンドは11月まで2カ月連続でトップだったが、前月は「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドDC」(通称:グロイン)にトップを奪われる格好になっていた。前月トップだった「グロイン」は第5位に後退した。
第2位から第4位は日本株式の中小型株アクティブファンドがランクインした。第2位は「DCダイワ中小型株ファンド」、第3位は「明治安田DC中小型株式オープン」、そして、第4位は「野村リアルグロース・オープン(確定拠出年金向け)」だ。いずれもボトムアップによる企業調査をパフォーマンスの源泉としている。第6位の「年金積立アクティブ・ダイナミクス」、第7位の「みのりの投信(確定拠出年金専用)」も含め、日本株式の中小型株を対象としたアクティブファンドになっている。米国株式の陰に隠れるような存在だった日本株式に、このまま良いパフォーマンスが続くものかどうか、今後の成績に注目したい。
DC専用ファンドのトータルリターン(1年)ランキング
出所:モーニングスター作成
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