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iDeCo9月の新規加入者は4.18万人、社会保障審議会で年金制度改革の議論開始

2022/11/02 17:21

 国民年金基金連合会が11月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると9月の新規加入者数は4万1,808人で加入者総数は264万2,812人になった。新規加入者数は前年同月比5.3%増となり、5カ月連続で前年同月を上回り、月間新規加入者4万人超をキープした。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は5,053事業所、対象従業員数は3万2,401人となった。

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出所:モーニングスター作成

 9月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は5,215人(前月5,419人)、第2号加入者は3万3,833人(前月3万9,528人)、第3号加入者は2,355人(前月2,288人)となった。第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が2万934人(前月2万4,579人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は7,814人(前月9,179人)となった。

 9月から11月にかけては、例年、加入者数が減少する傾向にある。2020年9月の新規加入者数は3万7747人、21年9月は3万9,691人だった。そして、11月には一段と落ち込み、20年11月は3万2,905人、21年11月は3万7,010人だった。今年は4万人の大台を維持したが、この高い水準をこれからも維持できるかどうかに注目したい。

 折しも10月25日から社会保障審議会年金部会が再開され、今後の公的年金制度の在り方について議論が始まった。年金部会の開催は、2019年12月27日以来、約3年ぶりの開催になる。当日は「第1回」の会合として部会長、および、部会長代理の選出が行われ、年金部会の中に「年金財政における経済前提に関する専門委員会」の設置が決められた。既に、新聞報道もなされているように、今回の年金部会では、国民年金(基礎年金)の保険料納付期間を現行の20歳以上60歳未満の40年間から65歳になるまでの45年間に延長し、かつ、厚生年金の財源の一部を国民年金に回すことによって財源が不足している国民年金を支える仕組みを導入することなどが議論される見通し。

 日本では「団塊の世代(1947年~1949年に生まれた人たち)」が2022年には73歳~76歳になり、2025年には団塊の世代ごと「後期高齢者(75歳以上)」になってしまうことになる。定年が65歳に延期され、継続雇用が75歳まで延長されても、さすがに75歳以降も働き続けようと考える人は多くはないと考えられる。2025年以降には、いわゆる「年金暮らし」が増え、かつ、医療費を多く必要とする人が増えていくことになると予想されている。公的年金制度をはじめ、医療・介護保険の制度の見直しは待ったなしの状況にある。

 すでに、団塊の世代を含む65歳以上の高齢者は、今年の推計値で3640万人と総人口の29.1%を占めるまでになっている。今後、年々、高齢化率が上昇し、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、「団塊ジュニア(1971年~1974年生まれ)」が65歳以上になる2040年には、高齢化率は35.3%になると見込まれている。年金財政も、医療保険・介護保険の財政も、今後一段と厳しくなることは必至といえ、現実問題として年金給付額の減額や医療保険の自己負担率の引き上げなどは避けて通れないものと考えられる。

 iDeCoなどの自助努力の私的年金を支える制度は、自らの老後を主体的に設計するために不可欠な制度といえる。公的年金だけを頼りにしていては、「給付額が引き下げられそうだ」、「年金の支給時期が後ろ倒しになりそうだ」などというニュースが出るたびに、「今後の生活をどうしようか」と心配ばかりをする生活になってしまうことになりそうだ。iDeCoを使って2,000万円(毎月2万円を年4%複利で40年間積立)、3,000万円(毎月2万円を年5%複利で40年間積立)という資金が用意できていれば、公的年金の減額や医療・介護保険の負担増に、それほど神経質になる必要はないだろう。そして、現実問題として数千万円の資金を準備しようと考えれば、20代からのスタート、遅くとも30代には始めている必要がある。未だ加入者総数が260万人台に留まるiDeCoは一段と普及が進む必要があるといえるだろう。

    
    

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