iDeCoニュース

iDeCo5月の新規加入者は4.36万人と前年同月比8.5%増

2022/07/01 15:17

 国民年金基金連合会が7月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると、5月の新規加入者数は4万3606人で加入者総数は246万3,137人になった。新規加入者数は前年同月比8.5%増となり、例年5月はゴールデンウィークの影響等で加入者が落ち込む月になるが、新年度入りで加入者数が増大しやすい4月と同水準の加入者数になった。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は4,471事業所、対象従業員数は2万8,656人になった。

2205.jpg

出所:モーニングスター作成


 5月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は5,445人(前月5,848人)、第2号加入者は3万5,259人(前月3万6,012人)、第3号加入者は2,320人(前月2,514人)となり、全体的に前月を下回る加入者になった。なお、第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が2万3,037人(前月2万2,277人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は6,603人(前月8,115人)となった。第2号加入者の中で、事業所側のサポートが弱い「企業年金なし」の加入者増が目立っている。

 5月末時点の加入者、運用指図者、自動移管者の人数をみると、加入者は前年同月比22.3%増となっているが、掛け金の拠出を止めて運用のみを行う運用指図者は前年同月比11.4%増の79万5,894人、また、制度から脱退後に資産の移管手続等をとらずに国民年金基金連合会に強制的に資産移管することになった自動移管者は前年同月比8.8%増の109万9,601人になっている。自動移管は、現金に換金されたうえで国民年金基金連合会に預けられ、移管後に毎月52円の管理手数料が目減りしていくことになるなど、加入者にとってデメリットしかない。自動移管者には「自動移管通知」や国民年金基金連合会から「定期通知」が送られているため、その場合は一刻も早くiDeCoの加入者になるなど、資産を活かすための手続きをする必要がある。

 iDeCoの新規加入者の拡大は続いているが、自動移管者の人数も増え続けている。むしろ、今年度(2022年度)の累計では、5月末時点で新規加入者が前年同期比99.1%と0.9%減のところ、自動移管者は同108.6%と8.6%増になっている。自動移管の対象となる企業型DC(確定拠出年金)加入者は、会社に制度があれば、自動的に加入し、しかも、掛け金は会社が支払う仕組みになっているため、加入者に加入していることの自覚が小さいという傾向がある。企業型DCに加入しているにも関わらず、運用指図を一度も実行したことがないという人も少なくない。iDeCoの普及によって老後の資産を運用によって大きくしていこうと考える人が増えていることは、高齢社会を突き進む日本にとって望ましいことだといえるが、個人型よりも大きな加入者や運用資産を抱える企業型において、一段と加入者教育が進み、制度を有効活用する加入者を増やす努力が求められているといえるだろう。

    
    

バックナンバー

  1. トータルリターンは日本バリュー株ファンドが年25%超でトップ10の6割占める=DC専用ファンド(2023年10月) ( 2023/11/08 14:06)
  2. トータルリターンのトップ10は日本株アクティブファンドが席巻=DC専用ファンド(2023年9月) ( 2023/10/06 16:42)
  3. 資金流入が集中する先進国株式インデックスファンドは信託報酬率が年0.10%を下回る=DC専用ファンド(2023年8月) ( 2023/9/07 11:36)
  4. トータルリターンのトップ10は国内株式アクティブ、資金流入は先進国株式インデックスに集中=DC専用ファンド(2023年7月) ( 2023/8/08 11:55)
  5. 株式ファンドへの資金流入拡大が顕著、上昇率トップは5カ月連続で「DCダイワ中小型株ファンド」=DC専用ファンド(2023年6月) ( 2023/7/07 16:39)
  6. 先進国株式が流入に転じ資金流入額が回復、DC専用ファンドの残高が初めて10兆円超え=DC専用ファンド(2023年5月) ( 2023/6/08 15:27)