iDeCoの11月の新規加入者は3万人割れ、「iDeCo+」は1千事業所7千人を突破
国民年金基金連合会が1月6日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると、11月の新規加入者数は2万8,608人で加入者総数は143万6,540人になった。月間新規加入者数は10月と比べて7,531人減った。19年7月以来、月間新規加入者数は4カ月連続で3.5万人を超えて拡大してきたが、加入者増に一服感が出た。月間加入者が3万人を割り込んだのは19年5月(20,463人)以来、6カ月ぶりのこと。ただ、例年11月は加入者数が少なくなる傾向がある。加入者数が増える12月~4月の期間に、どれだけ巻き返せるか見守りたい。
11月の新規加入者の内訳は、第1号加入者が3,222人(前月3,745人)、第2号加入者は2万4,167人(前月3万967人)、第3号加入者は1,219人(前月1,427人)となった。第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が1万4,603人(前月1万8,769人)、共済組合員(公務員)の新規加入者は5,768人(前月7,675人)となった。なお。iDeCoに事業主が掛金を上乗せする制度である「iDeCo+(イデコプラス)」の導入事業所数は1,049と1,000の大台に乗せ、対象従業員数は7,038人になった。
19年6月に国会等において「老後資金として2,000万円が不足する」問題が大きく取り上げられ、iDeCoの新規加入は月間3.5万人を上回るペースで続いてきたが、11月の新規加入者数の状況は、その勢いがやや衰える結果になった。年金法の改正論議では、公的年金について年金保険料(掛け金)の支払い可能期間の延長、年金受け取り開始期間の柔軟化が主に議論された。このため、年金不足問題に対するソリューションとしては、「年金受給開始年齢の繰り下げ(65歳受給開始を1カ月遅らせることで受給額が0.7%増額し、70歳まで遅らせると年金受取額が42%増額する)」にスポットライトが当たるようになった。
年金の繰り下げ受給については、現在のところ利用者が全受給者の数%程度と、ほとんど利用されていない制度であるため、この制度が周知されることは望ましいが、全ての勤労者が65歳を超えて生活に必要な報酬を得て働き続けられるものではない。
年金対策は、1つだけの方策ではなく、複数の方策を併用することによって、より確かな安心が得られるものだ。「65歳以降も働いて受け取れる年金額を増額する」という選択肢は残しつつ、iDeCoの活用も検討したい。子育て(教育費の負担等)等によって生活費に余裕がない場合、無理に始めることはないにしても、ある程度の貯蓄を行う余裕があるのであれば、老後のための資金準備方法として3つの税制優遇策があるiDeCoは最優先で検討すべき制度といえる。もはや、避けられない「人生100年時代」を迎えた現在、就労期間の延伸とともに、iDeCoを使った自助努力の資金準備を併せて検討していきたい。
iDeCo新規加入者数の推移
出所:モーニングスター作成
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