キャッシュバランスプラン
企業側と従業員側の両者にメリットのある制度
キャッシュバランスプラン(CB)は、確定給付型と確定拠出型の両面の特徴を併せ持った企業年金制度であることから、ハイブリッド型(混合型)とも呼ばれています。長引く不況で積立金の運用が悪化したため、利息分を一定のルールのもとで変動させるキャッシュバランスプランの導入が増えてきています。
■制度のしくみ
まず従業員ごとに"仮の口座"(管理上設ける口座で、実際に振り込まれるわけではない)が作られます。企業はその口座に、一定のルールに基づいて拠出クレジットを付与します。ここまでは確定拠出年金と似ていますが、違うのはこの口座には利息クレジット(簡単にいうと運用利率)も付与され、拠出クレジットはその利息クレジットによって運用される点です。したがって、確定拠出年金のように従業員本人が運用することはありません。
■両型のデメリットからみるCBのメリット
利息クレジットの数値は、一定のルール(10年もの長期国債利回りを採用など)のもと随時見直されます。従業員は金利の変更の影響を受けるため、退職金額は退職時まで確定しませんが、利息クレジットが設定される以上、元本割れはありえません。つまり、キャッシュバランスプラン(CB)は、確定給付による逆ざやを避けたい企業側と、運用ミスによる元本割れを避けたい従業員側双方の意向をくんだ制度なのです。
確定給付型のデメリット
個人残高が明示されないので、加入者ごとの年金資産が不明確。転職時のポータビリティが低い。
逆ざやにより、掛金の追加拠出の可能性がある。退職給付債務を負債として会計処理する。
確定拠出型のデメリット
運用成績により給付が変動し、場合によっては元本割れもありうる。
運用状況が良好であっても掛金は軽減できない。加入者ごとの詳細な資産運用の記録等の管理が必要となる。